解散宣言・「正しい日本語を守る会」
吉野屋
2003.6.1


 牛丼で有名な「よしのや」の3文字目は、「家」という漢字を書く。しかし、この「吉野家」を「吉野屋」と誤記する例が非常に多い。実際、書かせてみれば半数以上の人が「吉野屋」と綴るのではないだろうか? (「吉」の字も下の横線が長い異体字であるが、パソコンで表示できない)

 「吉野屋」という名前の店だっていくらでもあろう。また、東京・銀座の老舗靴屋は「ヨシノヤ」とカタカナで綴る。ホームページで沿革を調べると、1907年の創業時からカタカナ表記だったらしい。しかし、牛丼に関する限り、間違いなく「吉野家」なのである。

 そんな一企業の名称表記ぐらいどうでもいいではないか、いちいち覚えていなくて当然だと言いたい向きもあろう。しかし、しょっちゅう吉野家で牛丼を食べている人なら、「吉野屋」と綴って何ら違和感を感じないと言うのはお粗末すぎる。平素の観察力のなさ、文字を右脳で捉える力、不自然を見抜く洞察力、云々が問題にされてもおかしくないのである。「牛丼の吉野屋」という表記を見たら、せめて「何か据わりが悪いな」ぐらいには感じて欲しいところである。

 ところで私はここから牛丼そのものにも話題を発展させたい。というのは、私は数年前にある田舎のドライブインで、牛丼を注文して食べ始めた若者が発するこの言葉を聞いて衝撃を受けたからだ。

 「ゲッ何?この牛丼、甘い!」

 しかし、牛丼は本来は甘いものだったのである。コンニャクやシラタキと共に煮込まれ、すき焼きをそのままご飯にかけたような味わいのする食べ物だった。そこへ「しょっぱい牛丼」「しょっぱくて、肉が透けるほど薄い牛丼」という新しい分野を開拓したのが、他ならぬ吉野家だったのではあるまいか。私は昔から「普通の牛丼よりも、しょっぱい吉野家の牛丼の方がうまい」と認識していたが、追随する他の牛丼屋チェーンも同じ味わいにしていることが多いので、吉野家の発明は今や牛丼のスタンダードになってしまった感がある。これからは、吉野家タイプの牛丼と、甘い古来の牛丼とを区別する新しい日本語が必要なように思える。行ったことのある店以外では、どちらのタイプに属する牛丼かが分からないからだ。



【免責】このページは、筆者の考えで構成されているものに過ぎません。筆者は国語の専門家ではないこと、記述の正当性は何ら検証されていないこと、記述を参考にしたり転用したりした結果について責任を持てないことをお断りしておきます。
フラツト さんのコメント:
確かに社名として早川電機からシャープに改名したのは1970年だがそれ以前にブランド名として登録されている。
それと同じような例として「オムロン」が該当する。(これも「立石電機」のブランド名から、正式社名になった)
No.18
まあ さんのコメント:
社名にカタカナ小文字を使わなかった理由は「使えなかった」のではなく、デザイン上の見栄えを意識してあえて「使わなかった」のが正式。 No.17
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