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パリの日本大使館での思い出
2001.7.9


 外交機密費の濫用、田中真紀子外務大臣と外務官僚の確執で、いろいろと外務省問題がとりざたされている。私も、この機会に便乗して、10年前の苦い思い出をここに記したい。

 まだ大学に入り立てだった頃、友人とヨーロッパを周遊旅行した。1ヶ月に及ぶ旅行であったが、帰りの航空券を、パリのキャセイ・パシフィック航空のオフィスでリコンファーム(予約の再確認)する必要があった。

 大学生協を通じてチケットを買っていたので、大学生協が発行しているパリでの航空会社オフィス一覧を見て、キャセイ航空のオフィスに向かった。しかし、転居のためか、その場所にはキャセイ航空はなかったのだ。そこで我々は、地図上で徒歩数分の距離にある日本大使館へと向かった。キャセイ航空がどこへ引っ越したのかを教えてもらおうと思ったのだ。

 元来大使館の目的というのは、外交の窓口と、邦人旅行者などの保護の二つであるはずだ。私は、掲げられた日の丸に安心感を覚え、我が国の大使館の門戸を叩いた。すると、板垣退助か夏目漱石を思わせる時代遅れなスタイルの口ひげを蓄えた、男が出てきた。いかにも外交官という感じだ。しかし、彼の対応は、当時の私には理解できないものだった。困っている我々に対し、キャセイ航空の転居先を調べてくれるどころか、地図さえ見せてもらえなかった。

「大使館はそんなことをする場所ではない。帰れ帰れ」

 十年も前のことであるからセリフの詳細は覚えていないが、我々がこんな簡単な用事でも引き下がらざるを得ないほど彼の態度はにべもなかった。若い私は異国の地で初めて、「とりつくしまがない」という言葉の意味を理解したのだった。

 途方に暮れた我々は、日本航空のオフィスへと向かった。本来ならキャセイ航空と同業者であり、三越に行って高島屋の場所を聞くようなものであるから、気がひけるところである。日本航空の日本人係員は、快く応対してくれ、たしかに引っ越したので、分からなかったでしょう? という感じで親切に教えてくれた。

 成人する前のたった1回の海外旅行で私が学んだことは(在住はあったが)、「大使館は何もしてくれない」ということであった。



匿名希望 さんのコメント:
>「大使館は案内所ではありません!」
俺の知る限り大使館は亡命希望者が駆け込む所だ(偏見に満ちた見方だが、報道を見ている限りそう思える)。
亡命者より邦人の方を優先的に保護すべきではないのか。少なくとも平等に扱うべきだ。
No.5
愛のテーマ さんのコメント:
「キャセイ航空」は香港の航空会社ですから・・・ No.4
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