8億4400万円で和解 青色LED発明対価訴訟
二つのタイプの特許の混同
2005.1.16
8億4400万円で和解 青色LED発明対価訴訟
青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォルニア大教授(50)が、勤務していた日亜化学工業(徳島県阿南市)に特許権譲渡の対価の一部を求めた訴訟の控訴審は十一日、会社側が発明特許を承継する対価として六億円余りを支払うことなどを条件に、東京高裁(佐藤久夫裁判長)で和解が成立した。支払額は、遅延損害金を含めて約八億四千四百万円になるという。
産経新聞のサイトより http://www.sankei.co.jp/news/050111/evening/12iti001.htm
 中村教授は怒り心頭であると会見で述べている。発明に対する対価を十分に払わないと日本で優秀な技術や技術者が育たないのは、その通りだろう。この問題は、企業と従業員の発明特許をめぐる戦いとして取り上げられ、本人たちもまたそれを認めるところであろうが、その問題はひとまず置いて、別の観点から少々コメントしたい。あらかじめ述べておくと、私がこれから書くことは少々観点がずれており、特に今この問題に際して取り上げるものではなく、特許というもの一般の話である。

【疑問点】
「青色発光ダイオード」による日亜の利益の相当部分を中村教授に還元するべきであるかもしれない。
だが、そもそも「青色発光ダイオード」関連の権利を、そんなに日亜に認めるべきなのだろうか?

 私は、発明というのは2種類あると思っている。それは、

(A) その発明者が居なければ、世になかったであろうもの。または、相当な期間、世に出なかったもの。
(B) その発明者が居なくても、そう変わらない時期に、世に出ていたであろうもの。

 この二つは、いろいろな言い方ができると思う。例えば、(A)は、クリエイティブな発明だ。一方、(B)は課題の存在が明確であったが、それに対する解決策の発見であるとも言えよう。また(B)は発明というよりも、発見に近い。

 要は、私はこの係争の対象となった一連の特許は(B)に該当すると思うのだ。

 赤色発光ダイオードの発明は偉大であっただろう。その発明者が居なければ、発光ダイオードは今なお、世の中になかったかも知れない。しかし、青色発光ダイオードはどうだろうか。赤(=R)と緑(=G)ができて青(=B)だけができない、ということがハッキリしていて、各社が競って青色を開発していたのであるとすれば、どこが発明するかは時間の問題だったのではないかと思うのだ。要は、中村教授が居なくても、そして日亜化学工業が存在しなかったとしても、そう遅くない時期に(多分今頃はすでに)発明されていたと思われる。

 そういう意味で、(A)と(B)とでは、発明者の社会に対する貢献度が全然違うと思う。なのに、保護のレベルは同じだ。

 私は、こういう(B)タイプの発明は、特許で保護するのでなく、報奨金程度で済ませる方が社会的に良いのではないかと思う。

 間違えて欲しくないが、日亜が中村教授に報奨金を払うという話ではない。そもそも特許を与えるのではなく、特許庁が日亜に報奨金を払う程度の話、またはもう少し低いレベルの保護しか特許庁が与えないべきだと思うのだ。

 最初から課題が明確で、その中で「たまたま最初に解決した」という人や企業に、長期間にわたり独占やライセンスなど広い範囲の権利が認められるのは、決して社会全体にとって良いことではないだろう。

 しかし、特許は世界的な制度であり、今さら日本だけが(B)に特許を認めないというわけにもいくまい。こう考えると、地球上の知的所有権のあり方は間違った方向で整備されてきたと思うのだ。

 なぜ(B)をそれほど保護する必要がないのか。ここではその論拠を明確に示していないが、いずれ「知的所有権を考える」のコーナーの方で取り上げたいと思う。

 私に言わせれば、「ビジネスモデル特許」の多くは(B)のタイプだし、発明と言うよりは早い者勝ちの陣取り合戦に過ぎないと思う。こういった特許が横行すると、ほとんどの技術や仕組みが特許で保護されてしまって硬直化し、せっかくの技術を自由に使えず、社会の随所に高コスト化するタネが仕込まれてしまって身動きが取れなくなる。


段平 さんのコメント:
安過ぎる特許料だと思う。野球の松井の1年分にもならない金額とは、全く発明の価値がわかって無い。天才の脳出なければ出来ない事と、並みの頭脳で出来る事の区別もわかって無い。 No.14
♠管理人 さんのコメント:
> No.12
技術的に大変な飛躍があるのは分かっています。
私が問題にしているのは、技術的なことではありません。目標の設定です。
どこかに新大陸がある、という前提で競うことと、新大陸など思いも寄らない時代に新大陸がある可能性を唱えるのとでは、質的な違いがあると思うのです。
No.13
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